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- 1987 · イングリッシュ・コンサート、トレヴァー・ピノック
トレヴァー・ピノック
プレイリスト
バイオグラフィー
トレヴァー・ピノックの名前は、彼が1972年に創立したピリオド楽器アンサンブル、イングリッシュ・コンサートと共に語られることが多いが、そのキャリアは実に多彩だ。鍵盤楽器奏者、室内楽の演奏家、指揮者、音楽祭のディレクターといった顔を持つ彼は、リアリズムと揺るぎない潔癖さを兼ね備えており、一切ギミックがない誠実さ、権威性、そしてソリストとしてのさりげない名人芸で、傑出した音楽を生み出してきた。1946年にイギリス南東部ケント州のカンタベリーで生まれたピノックは、大聖堂の聖歌隊で音楽の基礎を徹底的に学んだ。そして、オルガンとチェンバロに魅了された彼は、やがて通奏低音の奏者としてアカデミー室内管弦楽団のツアーに参加するようになる。しかし、その一方で、Roberto Gerhard、フランク・マルタン、フランシス・プーランクといった作曲家たちの近代的なチェンバロ曲もマスターしており、それは、彼が古楽の枠にとらわれない好奇心と柔軟な姿勢を早くから持っていたことの証左となっている。そんなピノックのディスコグラフィは、マーラー、ツェムリンスキー、ブゾーニから、モーツァルトの交響曲全集、オペラを含むバロック音楽まで、実に多様だ。指揮者としての活動も幅広く、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ボストン交響楽団、シカゴ交響楽団など、さまざまな一流オーケストラに定期的に客演しており、2022年からは紀尾井ホール室内管弦楽団の首席指揮者に就任するなど、新たな挑戦を続けている。