グリゴリー・ソコロフ

バイオグラフィー

ピアニストのグリゴリー・ソコロフは、少年時代にその類いまれな才能を開花させた。しかし、ソ連当局が国外での演奏を許可しなかったため、キャリアの初期においてはそのパフォーマンスの素晴らしさが国際的に知られることはなかった。彼の卓越した技術に裏打ちされた演奏の魅力が世界に伝わったのは、1980年代後半以降になってからだった。 ソコロフは1950年にレニングラードで生まれた。音楽が彼の天職であることは、幼い頃から明らかだった。ほとんど無名の16歳の少年だったソコロフは、1966年にモスクワで開催されたチャイコフスキー国際コンクールで並外れた才能を発揮し、優勝したのだ。彼は長い間スタジオでのレコーディングを避けてきたため、アルバムに収録された音源の多くはライブで録音されたものとなっている。1991年以降は西側でもアルバムがリリースされるようになり、2014年にドイツ・グラモフォンがソコロフと専属契約を結んだことは、この老舗レーベルがこのピアニストをいかに高く評価しているかを示す出来事だった。彼のディスコグラフィのハイライトとなっているのは、ショパンの楽曲を収録したいくつかのアルバムだ。それらの中でも、1990年にライブ録音されて2001年にリリースされた前奏曲集の演奏は、探究心にあふれたアプローチが生み出す独特のテクスチャーと叙情性、そして安定感を持つもので、特別な光を放っている。またソコロフは、チャイコフスキーの第1番やラフマニノフの第3番といった協奏曲で圧倒的な名人芸を披露する一方、フランスバロックのレパートリーを独創的に解釈し、繊細で洗練された演奏を聴かせることにも長けている。 ソコロフは、時に過剰と思われるほど緩急をつけた演奏をするが、それは常に揺るぎない説得力と明確なビジョンを伴っている。さまざまな作曲家が表現する世界観に入り込みながらも、通例にとらわれることなく、極めてパーソナルな解釈による演奏を行うという、彼のような能力を持つ演奏家は何人もいない。書いたのは偉大な作曲家だが、グリゴリー・ソコロフが奏でれば、そこにはまごうことなきソコロフの世界が広がる。

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