20世紀の音楽を飛躍的発展へと導いた革新的な作曲家、アルノルト・シェーンベルク。1874年にウィーンで生まれたシェーンベルクは、アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキーの下で学び、リヒャルト・ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスの足跡をたどるようにして作曲家としてのキャリアをスタートさせた。そんな彼の初期の作品は後期ロマン派の伝統を受け継いでおり、高い完成度とともに美しい旋律と豊かな和声が印象に残るものが多い。しかしその後、彼の音楽性は急激に変化することになる。抽象絵画の先駆者であるカンディンスキーと親交を結んだシェーンベルクは、音楽におけるアブストラクトな表現方法の創造へと突き進んでいったのだ。その結果、彼は1908年ごろに最初の無調による作品を生み出し、1921年ごろには12音技法を確立。20世紀の音楽を大きく革新した。