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- 2001 · ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、サー・コリン・デイヴィス
サー・コリン・デイヴィス
プレイリスト
バイオグラフィー
年齢を重ねると少し演奏が丸くなるというのは多くの指揮者に見られることだが、サー・コリン・デイヴィスの場合はまるで別人のような変貌を遂げた珍しい事例だといえるだろう。1927年にイギリスのウェイブリッジで生まれた彼は、クラリネットを学び、近衛騎兵隊のバンドで演奏するようになる。しかし、指揮者になることを望んだデイヴィスは、オーケストラとの契約がない、つらい時期にもその志を貫いた。そして1957年にBBCスコティッシュ交響楽団の指揮者となり、チャンスをつかむ。評論家の中には、彼が演奏するモーツァルトや、その後も探求し続けたベルリオーズの解釈などを絶賛する者もいた。ところがリハーサルにおけるこらえ性のなさが災いして、デイヴィスが初期に得たいくつかポジションは後味の悪い形で失われた。それでも1967年にBBC交響楽団の首席指揮者の地位を得ると、マイケル・ティペットをはじめとする現代音楽を取り上げるなど、レパートリーの拡大に貢献する。しかし、BBC Promsの中でもとりわけ人気が高い「The Last Night of the Proms」の現代化を図った試みは批判を浴びた。1970年代の初頭から10年以上にわたってコヴェント・ガーデン王立歌劇場の音楽監督を務めたデイヴィスは、その間に受けたユング派の心理療法によって性格や態度が変わったと語っている。実際に、それぞれ1983年以降と1995年以降にバイエルン放送交響楽団とロンドン交響楽団の首席指揮者として活躍したころの彼は、驚くほど温かく寛大になっていた。その変化は演奏にも反映され、ベルリオーズやシベリウスをはじめ、デイヴィスの後期のライブや録音は非常に高い評価を得ている。最晩年までロンドン交響楽団の首席指揮者の座にあった彼は、2013年に85年の生涯の幕を閉じた。