スコットランド出身のピアニスト、スティーヴン・オズボーンは、深遠な音楽性と圧倒的なテクニックを兼ね備えている。ラヴェルの楽曲の演奏に見られる繊細で緻密な織物のような描写から、ベートーヴェンの作品で聴ける強烈な雷鳴まで、その表現の幅は極めて広い。また、20世紀と現代のレパートリーにおいても傑出したパフォーマンスを披露している。 オリヴィエ・メシアンによる名作を収録した2002年のアルバム『Messiaen: Vingt regards sur l'Enfant-Jésus』で、ピアニストとしての卓越した資質を存分に発揮して以来、オズボーンは着実に進化を続けている。19世紀フランスの個性豊かな巨匠、シャルル=ヴァランタン・アルカンの過小評価されている傑作『Esquisses』を収録した2003年のアルバムでも、演奏家としての多彩さを見せつけた。 ファリャやブリテンによるピアノと管弦楽のための作品を収録したアルバムなど、オーケストラとの共演でもカリスマ性を発揮するオズボーンは、室内楽のパートナーとしても尊敬され、高く評価されている。その称賛の理由は、ピアニスト仲間のポール・ルイスとのデュオによるフォーレ、ラヴェル、ドビュッシーの魅惑的な楽曲や、チェリストのグスタフ・リヴィニウスと録音したロベルト・シューマンによる民謡風の舞曲「Vanitas vanitatum」などを聴けば分かるだろう。