1941年イタリア生まれの指揮者で、現代最高の巨匠の一人に数えられるリッカルド・ムーティ。彼は若いころから非凡な聴覚と豊富な学識を評価され、30代前半から指揮界の第一線で活躍。フィラデルフィア管弦楽団、ミラノ・スカラ座、シカゴ交響楽団などの音楽監督を歴任し、多くの名盤を世に送り出してきた。ムーティは、リハーサルで奏法の細部に至るまでを奏者たちに説明し、要求する。様式にそぐわない装飾や、論理性のないカットなどは一切採用しない。そうした原典尊重の音楽作りは、スケールの大きさや、鮮やかな色彩感となって結実。あらゆる点でバランスのよい表現が展開されている。2016年の7月に75歳を迎えたムーティだが、映画音楽やクラシックなど作品に関わらず、彼のパフォーマンスは相変わらず明白で説得力のあるものだ。