- エディターのおすすめ
- 伝説のカリスマ指揮者。録音の数も限られているが、残された録音はすべて完成度が高い。
カルロス・クライバー
- Sanders Schier、 Ditha Sommer、 フリッツ・オレンドルフ、 Deutschen Oper am Rhein Orchestra、 Anni Korner、 カルロス・クライバー、 Karl Diekmann、 Eva Kasper、 Gabrielle Treskow、 Erika Wien、 Alfons Holte
- カルロ・サバイノ、 Nello Palai、 Vittore Veneziani、 Nicola Fusati、 Apollo Granforte、 Maria Carbone、 ミラノ・スカラ座管弦楽団、 Tamara Beltacchi、 Corrado Zambelli
バイオグラフィー
あらゆる人気投票において史上最高の指揮者の一人に数えられてきたカルロス・クライバーは、実際のところ不思議なくらい控えめな男であり、指揮台でカリスマ性を発揮するショーマンとは正反対の存在だった。メジャーオーケストラの常任指揮者になったこともなく、レパートリーも限定的なもので、録音もベートーヴェンの交響曲2作、シューベルトの交響曲2作、ブラームスの交響曲1作といつくかのオペラ以外はほとんど遺しておらず、50代前半の1982年にはレコーディングそのものをやめてしまっている。細部にまで鋭い目を光らせる完璧主義者だったクライバーは、リハーサルに多くの時間をかけた。『Tristan und Isolde(トリスタンとイゾルデ)』のレコーディングセッションを途中退席したのも有名なエピソードだが、これはプリマドンナの実力不足といったような理由からではなく、ひとえに自身が理想とする演奏が実現できないことに絶望したからだったとされる。それでもこの時レコーディングされたアルバムは、すべてのオペラの録音の中で最高のものの一つとして広く認知されている。他に、ウェーバーの『Der Freischütz(魔弾の射手)』とビゼーの『Carmen(カルメン)』のスタジオ録音や、リヒャルト・シュトラウスの『Der Rosenkavalier(ばらの騎士)』のライブ録音も、多くの音楽家や批評家に愛され続けている。そして、並外れた完璧主義で魔法のようなパフォーマンスを実現したクライバーの名声は、2004年に彼がこの世を去った後、伝説の域にまで高まっている。